暖かく、風もない夏休みの夜でした。 そこまでアウトドアに興味がない私ですが、前に買っておいたテントを家のウッドデッキに広げました。 今年は、流星群も自宅のウッドデッキに広げたこのテントの中から娘と二人でたくさん見れました。この夜も娘と二人きりで、きれいな星空を眺めながら話がしたかったのです。
星の瞬く空を見上げながら、私は娘に切り出しました。 「お父さんとお母さん、やっぱりうまくいかないから、離婚することになると思う」
周りにも離婚した家庭があったので、娘は「離婚」という言葉を理解していました。 私の言葉を聞いて、娘は静かに「分かった」と答えてくれました。
そして、私は一番大切な質問をしました。 「もし、どこにでも好きなところに住んでいいと言われたら、どこに住みたい?」
娘は迷うことなく、**「石垣!」**と即答しました。 なんども旅行した、石垣島の美しい海や温かい雰囲気を、娘も心から気に入ってくれていたのです。 娘の口から出たその言葉に、私は安堵とうれしさがこみ上げてきました。
私は続けました。 「でも、学校も転校になるし、今みたいに広い家には住めないかもしれない。色んなことが変わってしまうけど、それでも石垣に行けそう?」
「やるかやらないかなら やったほうが楽しいでしょ」
いつも、私が言っている言葉でした。テントの中での娘の言葉は、私にとって大きな支えとなりました。 この瞬間、もう迷う必要はないと確信しました。 娘が望む場所で、私たちは新しい人生を始める。どんなに言い訳しても、娘には私の身勝手で迷惑をかけていることには違いないけど、完璧な親なんて存在しないんだから、どんな環境でも、強く楽しく生きて行けるよう、二人で頑張っていきたいと思いました。
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